出来上がりのイメージです。24MHzのTCXOを使用した例で、他にロータリーエンコーダとメモリーボタンが5個付きます。
20MHzのTCXOであれば画面右上は 24M → 20M と変わります。(20MHzにすると遮断周波数の変化率がやや粗になります。)
詳しいデータは マキシムのデータブック でご覧ください。
以下はデータシートから抜粋したものです。297はこの種類のスイッチドキャパシタの中では最も高調波ひずみが少ないICです。
音質重視のPSN送受信には大変重宝するICです。遮断周波数の50倍のクロックを必要とします。
回路図面です。
PIC16F873aで9198をコントロールしてTCXOクロックを分周します。例えば24MHzクロックの場合、3000Hzカットオフにしようとすると
PICからの命令で24MHzを80分周します。結果300KHzの信号になります。さらに74HC74で1/2分周で(この過程で波形整形されデューティ比は
50%になります)150KHzです。MAX297は50倍のクロックで遮断周波数が決まりますから150000/50=3000Hzになります。
ロータリーエンコーダで分周比を連続可変することで、結果フィルターのカットオフ周波数を変化させています。
基板左の方に見える74HC14は現在使用していません。エンコーダのパルス波形にヒステリシス特性を持たせるつもりでしたが後に
プログラムソフトでバグは吸収しました。また回路図面にはあるRFCコイルが映っていませんがエンコーダの特定位置でスプリアスノイズが
でるようなら基板に取り付け、図面のように配線してください。
右写真、カットオフ周波数を3KHzにした遮断特性です。メーカ発表の通り1.5倍の4.5KHzにおいてー80dBの減衰が得られています。
【ご注意】 「スイッチドキャパシタフィルターはノイズが多い」と誤解されている方。
フィルターを通っているオーディオ信号は微弱ではないですか?数mVや数十mVの信号ではどのような回路を通してもノイズが混入します。
前後のオペアンプのダイナミックレンジの広さを考えれば2〜3Vの低周波信号を通しても歪むことはありませんから297は電圧を高くして信号を
通してください。マイクアンプで2〜3Vに増幅しリミティングアンプ、ローパスなどを経由しバラモジの直前でバラモジICに合った電圧
(100mV程度)に落とすというやり方がノイズ等を避ける基本的な方法です。
なお、クロックの高調波による影響があれば図面のようにπ型フィルターを挿入します。
他のタイプ、例えばオペアンプによるアクティブフィルターは次数が多くなれば大変複雑なRCの選別が必要になり、また遮断周波数を細かく
変化させることも大変です。
LCフィルターで同じ性能を得ようとすると高インダクタンス、ハイQのコイルが必要になり実現は非現実的で無理です。
☆ここから24MHz,TCXOを使用した場合のPIC16F873A用プログラムをダウンロードできます。(9198_LPF_24MHz.zip)☆
★ここから20MHz,TCXOを使用した場合のPIC16F873A用プログラムをダウンロードできます。(9198_LPF_new20MHz.zip)★
スイッチドキャパシタ297に送るクロックをDDSで作成したサイン波でコントロールします。TC9198の分周を利用したものでは
3000Hzの次は3038Hzなど半端な数字になってしまします。DDSでやる場合は10Hz、100Hz、1KHzステップ、どれでも選べますので
3000Hzの次は3010Hzなどきちっとした遮断周波数でローパスを使えます。(たいした意味はありませんね・・・)
ただ7474でデューティ50%に整形したクロックでも特定の高調波が3.5や7MHzのバンド内に出現することがあり,そのためのπ型
ローパスでしたが、この場合DDS発振波形はサイン波ですから高調波の心配はまずありません。(何故か図面には残っています。
あってもいいか・・・) DDSのクロックは流用して24MHzです。PICのクロックはセラロックによる10MHz。
DDSからの1V出力はオペアンプで 5V P-P (0-5V) に増幅して297に加えています。
パネルはメモリーAからEになってますが回路図面の通りAは周波数 の step down、Bは step upに変わっています。 |
PSN方式では帯域を制限するローパスフィルターは必須のデバイスです。
☆ここからこのDDSを使用したPIC16F886に書き込むプログラムをダウンロードしてください。☆
フィルタータイプのSSBではフィルター自身が低域も高域も遮断してくれる為、帯域制限のフィルターはさほど必要ではありませんでした。
しかしPSN方式では帯域制限をするものはローパスとハイパスフィルターしかありません。オールパスは全ての周波数をパスする、通す
という意味ですから状況によっては高域だけでなく過度な低域も遮断する必要があります。
ローパスと比べてハイパスは帯域の周波数の低い所を扱うためデジタル処理をすると帯域内に高調波が生じます。スイッチドキャパシタが
使えない理由です。NFブロックから高価なハイパス・フィルターが発売されていますがアマチュア的にはオペアンプによるハイパスがいいと
思います。
33Hzでカットしている理由は外部の車のエンジン音などの重低音にマイクが反応しないように、300HzはDXなどの通信時に
不必要な低域をカットするためです。すべて HAMSTOOL のアクティブフィルターの設計メニューから Chebyshev type 0.1dB
のデータです。
マイクロリレーを多用しています。
【雑学】旧来電話回線にしろSSB信号にしろ帯域は300Hz-3000Hzと決まっているようです。しかし所謂電話の音に飽きたらず心地よい低音
を響かせてラグチューを楽しむといやり方は3.5MHzや7MHz帯で広まりつつあるようです。しかし、相手に情報を伝えるという観点からは
帯域は狭いほうが有利です。アンテナに送り込む単位周波数当たりの高周波エネルギーはアンプの出力が決まっていれば占有周波数が
狭ければ狭いほど高いものになります。帯域を狭めた究極の姿がCWです。DX通信で、SSBではとても無理なQSOがCWではできる理屈です。
単位周波数当たりのエネルギー供給能力はアンプによって決まります。ISB通信をする場合はエネルギー分布が倍に広がるため
パワーアンプに送るISB信号も通常の1/2程度に絞らなければいけません。
(ISB電波のスプラッター観察はSSBのように逆を聞いて判断という訳にはいかないので、スプラッターらしき電波になっても帯域が広い
ためなのかIMD歪なのか区別し難い場合があります。要注意です。)
Copyright© 2014 JA3GSE M.TSUJI All Rights Reserved.