メニューは5種類変わります。左画面:VSは visual satellite(見えている衛星数) の略、TSは tracked satellite(捕捉衛星数)
の略
Mは condition mode でリセット後1から8までGPS受信機の状態を示します。受信状態が最良のときが8になります。
右画面はメニューを変えて日付・時刻を表示しています。[sharp] は秒針まで原子時計に合っている状態で、日によって+3ナノ秒から
-3ナノ秒の誤差がでます。-(マイナス)表示が出ているときは秒針表示が1秒遅れます。右の S=8 は左の TS=8 と同じ意味で補足数です。
内部写真です。左の基板がTU60-GPS、外部にGPSアンテナを接続しています。右のユニバーサル基板はこのGPSにロックした
30MHz基準発振器です。30MHz2個、1MHz1個、100KHz1個を出力しています。
回路図面です。
空が見える場所に設置したGPSアンテナをつなげば調整箇所もなく起動します。電源を入れてからリセットボタンを押してください。
2-3分でGPSシステムに ロックします。 TU60が出力する10KHzの信号で水晶発振器をロックし、10MHz、30MHzなどの基準周波数
を発生します。
以前のヴァージョンに LCD が不特定のある時期に flickering (文字が明滅する) 現象を認めましたので
マイナーなバージョンアップを行いました。(2022/12/29)
※ここからPIC16F886に書き込む日本標準時(JST)用 HEX ファイルをダウンロードできます。TU-60_of_886(JST-TM)※
(以前記述していた HEXファイルを消去して、他例と同じように zip ファイルに書き換えしました。保存・解凍してご使用ください。)
下の左、TU30の場合はプログラム上、日付・緯度経度などのメニュー切り替えはありません。NMEAという衛星からのデータを
読み取っていますが秒針が1秒表示がおくれます。またこのプログラムによるTU30-GPS受信機のロックアップには時間がかかります。
(数分〜十数分)その間LCD画面の時刻表示がちらついたりしますが我慢してそのままお待ちください。最終的に右下のLCD表示になります。
V-S はvisual satellite(目視衛星)、T-Sはtracked satellite(補足衛星) の意味です。Sメータ代わりに衛星の個数を確認します。
10KHzの出力信号の周波数精度は TU60 と同じです。TU30しか持ち合わせのない方はこのプログラムで動作を管理してください。
下はTU30のLCD表示回路図面です。10KHzの周波数出力はTU60と同じくセシウム原子時計の世界基準に合っています。
☆ここからPIC16F886に書き込むTU-30用のHEXファイルをダウンロードできます。(TU-30GPS.zip)☆
上の項目の記述はGPS受信機を動かし、GPS受信機が発するデータを解析、その状態を把握して基準の10KHzを作る
回路でしたが10KHzを得ても直接利用するデバイスがありません。
次に送信機や受信機の基準として使える10MHz 1MHz 500KHz 100KHzを出力する発振機の回路を示します。使用するTTLICは74HC04と
74HC390のみです。図面では04は全てピン1,2を使うようになっていますがキャドへの書き込み上のミスです。74HC04のインバーターは全て
使います。
特に難しい箇所はありません。30pのトリマーコンデンサーでTC5081の1番ピンが電源電圧の1/2程度(2.5V)になるよう調整してください。
使用する水晶発信子によりCの値の最適値が変わります。図中68pとなっていますが10pで最適となったXtalもあったので
デバイスにあわせて調整してください。【お知らせ】ループフィルターの定数を変更しました(May/28/2014)
上の写真は100KHzの標準信号でロックするよに組み上げたPLL発振器です。これをTU60などの10KHzでロックするには右の図面のように
さらに1/10に分周する必要があります。
現用の回路は下の図面です。このページの上のほうに出ている大きな写真の実物セットがそれです。
電源のリプルフィルターに関してはその項目を参照してください。PLL回路は比較周波数10KHz、発振周波数30MHz ですから分周比は
1/3000になります。従ってこのPLL回路では基準信号の位相雑音が3000倍になってVCOの30MHzに反映されます。10KHzの基準信号を供給
するTU60の電源には必要以上に気を使ってください。
VCOトランジスターは2SC1906、2SC1907、2SC3355などの高周波用を使用してください。
水晶振動子にシリーズに入っている 3.3uH のコイルが大変重要です。経験上 1〜4uH
程度で安定して発振します。20pのトリマーコンデンサーの調整やFCZ-28のコアーのセット
はTC5081の出力電圧が電源電圧の1/2程度で安定するように調整します。(5V電源なら
2.5Vくらいに)ループフィルターの設定はは大変面倒な考察が必要です。この図面ではカット
オフ周波数を50Hzとして定数を決めています。
(FCZコイルは生産中止になっていますが代替品を販売している通販ショップも あります。)
2SC3355のエミッタフォロアーから外部機器に30MHzを2-3m供給する場合は左回路図の
ように50Ω出力のバッファーアンプを設置します。uPC1677が簡単な回路ですがこの用途
にぴったりです。5番ピンに付く負荷コイルは18uでなくてもこの周辺の値のものでOKです。
また、30MHzを受け取るほうでは上の図面の74HC390の入力部分のように5Vを10K-10K
で分圧し、その2.5Vセンターに信号を加え74HC04のインバータ経由でTTLレベル
(CMOSレベル)に戻してDDSなどに供給します。
さて、
高周波発振回路周辺やPLL回路のラグリードフィルターをいい加減に設計すると下の左写真のようにサイドバンドノイズに汚染された
(フェーズノイズ[位相雑音] ・ FMノイズ ・ サイドバンドノイズ、言葉はみな同じ意味です。)非常に汚い信号になります。
オシロスコープではきれいなサイン波形に見えてもスペアナで解析するといわゆる基本波にへばりつく「ごみ」だらけです。
このような局発信号・キャリアー信号でSSB信号を扱うといい音がするはずがありませんね。
シャープなフィルターを装備した受信機でキャリアー信号からわずかに離調してキャリアーを聞こえなくしたときに、その周波数のすぐとなりで
ザーとかシャーとか聞こえるノイズがこのサイドバンドノイズです。スペアナがなくても受信機で、ある程度その信号の純度がわかります。
勿論、それを評価するに値する受信機で聞いた場合の話ですが・・・
(下の大きな2枚の写真は30MHz標準信号のスペアナ写真)1KHz離れた周波数での1Hzあたりの雑音レベルはRBW=100Hzなので、
左は-84.3dBc/Hz、右は -108.3dBc/Hzとなります。
改めて、通常は右上のようなきれいな波形を示す発振回路ですが図面中の5081出力のローパスフィルター
1KΩと2.2uF (この時点では2.2uでした)を外した場合は左上のようなひどいFMノイズが乗った波形になります。
(ただし、きれいにしようとしてあまりフィルター効果を大きくとると永久にPLLがロックアップしません)。
左の小さい画面はいい加減な電源を使用してハムが乗った状態で、基本波の両側に120、240、360Hz
の ハムが並んでいます。これはAMノイズと言われるもので電源から回り込みやすいものです。
全ての出発点となる基本の信号なのでこの辺は気を使っても気を使いすぎることはありません。
一度汚れた信号で処理されたSSB信号はどのようなフィルターを通しても、どのようなアンプを通しても
決して元に戻ることはありません。
IMD特性に気を取られがちですが、キャリアーや局発など搬送波自体の purity にも大いに気を配る必要があると思います。
蛇足ながらFMノイズはその信号を逓倍すると悪化(拡大)し分周すると収束(改善)します。
ローカルの友人から廃棄処分になりそうだった「Hewlett Packard 10811 CRYSTAL OSCILLATOR 10MHz」を譲り受けました。
調べてみるとその周波数偏差値は「5*10-10/day、1*10-7/year」とのデータを得ました。詳しくはwebでご覧ください。
10811 A&B Quartz Crystal Oscillator (hparchive.com)
オーブンには20Vの電圧が、発振回路には12Vの電圧の供給が必要です。以前より AD9851 DDS のクロック用に30MHzが必要
だったので同じように、30MHz、10MHz、100KHzを取り出します。
回路は特に変哲も無く以前のものと大差ありません。通常は無い半端な電圧を得る目的で3端子レギュレータを2個使う方法、
30MHzくらいの高周波を数m引っ張る為の出力インピーダンスを下げる方法など、参考になるものがあれば幸いです。
図中、30MHz発振回路のトランジスタは 2SC3355 になっていますが 2SC1906 のような高周波用TRでOKです。回路と内部は、
スペアナで見た30MHz出力スペクトラムです。位相ノイズもハムの混入もなく非常に綺麗なものになっています。
いかに有名メーカーの一流品であれこれだけの stand alone では周波数の絶対値は決まりません。
やはり authorized されたセシウム原子時計などを使用しているGPSからの信号で校正する必要があります。正確に行うには
オシロスコープを使用し、外部トリガーで波形の動きを観察する方法がベストです。通常のインプット端子に GPS から得た 10MHzの
信号を入力します(左下の細い3D2V同軸)。右の中程「EXT.TRIG」とある入力に、このPackard OSC の10MHz(黒い同軸)を入れて、
上の中程にある「TRIGGERING」項目のレバーを「.EXT」に下ろします。波形の左右の動きがピタッと止まるまで恒温槽本体にある
トリマーコンデンサーの微調整を行います。
24時間 aging して周波数合わせを済ませると、1週間後でもピタリと止まっていて、さすがに Packard か!と感心させられました。
【修正した部分について】
追加のレポートです。以前にアップロードした回路で十分安定な発振が得られると思っていたのですが何かの具合で発振周波数に
変化が生じるマイナーな異常を検知しました。
対策として以下のごとく少々回路変更したのでその部分だけ再度 up load いたします。30MHz水晶発振のあとにバッファーアンプを挿入しました。
同じく高周波用の 2SC3355 です。カソードフォロアーで取り出します。
これで30MHz発振本体が後段と分離され動作が安定します。なおFCZコイルに入っていた39pは33pに変更。uPC1677へのシリーズ抵抗
は1.5KΩから100Ωに変更しています。この変更で全く問題無く動作しています。
この修正分アップロード:2023/Feb/23
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